しゅん

霊長類のしゅんのレビュー・感想・評価

霊長類(1974年製作の映画)
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いくつかの肖像写真(おそらく霊長類研究所の先達)から始まり、そのあとはどんな実験にも顔色ひとつ変えない人間とあんなことやこんなことをされしまう猿たちの連続。死んでからイメージとして扱われる人間と、物質として処理される霊長類との対称性。
後半のリスザルの解剖、つまり脳みそパカン・内臓どばっ・皮だけになった顔面ドアップに動物実験の残酷さを見出してしまうけど、結局あれがどういう実験なのか、そもそも実験だったのかどうかもよくわからない。上から吊るして左腕の筋力を図る実験(ストップウォッチとのモンタージュが見事)からしてそもそも残酷だとは思うけど。あと、音ヤバ。金切り声ももちろんだけど、全体的な不穏さ。

告発には決して陥らない、ワイズマンの個人的・主観的なものへのこだわり(というか倫理)はこういう作品だとはっきりと感じとれる。好きなのは会議の時の研究員たちの複雑で表面的な顔のアップ、それと無重力実験からの突然のエンドロール。ヒゲモジャ親父が口に加えてたパイプがすごく変な形してたのをもう一回見たい。
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