ジャックロジエ監督作品。
楽しくて、寂しい傑作でした!
仲良し3人組がバカンスへ行って、あれやこれやするだけ。ただそれだけなのに、観ていてとても楽しい。
印象的なシーンも多く、うなぎをくれるおじさんの下りは笑った。乗馬シーンやヨットのシーン、お菓子を食べるシーン、料理のシーンなど、輝きにあふれたシーンの数々。
海のさざなみや、女性たちのキャピキャピした笑い声、ドスドス木靴で床を歩く音など、音も印象深い。
最初は、なんだこいつと思っていたジルベールも別れの時は結構寂しく感じる。
3人の女性たち含め、人物造形も巧い。
前半から中盤にかけて、バカンスの楽しさを描きつつも、後半からはバカンスの退屈さ、行き詰まりの感じも描き出される。
バカンスの終わりは唐突に訪れる。ジルベールが去り、カリーヌが去り、そして二人もパリへ帰っていく。寂しい波音だけが、辺りにこだまする。
「スーパーハッピーフォーエバー」もバカンスを対比を用いて描いていたけれど、本作もバカンスの楽しさと寂しさ、始まりと終わりの両極を描いている。
フランス映画らしい、なんだかよく分からないシーンやセリフもあるのだけれど、それも心地よい映画の破れ目で、それら含めて全体的な自由さがとにかく楽しい。
また日記、章形式で映画が進んでいくのも良かった。日記のように映画を撮っているような、いい意味での軽さがこの映画の心地よさに大きく寄与していると思う。
正直、映画のほとんどが3人の究極の内輪ノリなので、そのノリが合うかどうかがかなり肝心なところ。長尺でもあるので、ゆったりとした心持ちで観ることをおすすめします。
本作はやはり、映画館で観た方が良いと思った。最高の環境で観ることで、バカンスに行ったような感覚になる。
旅行に行きたくなるし、友達と遊びたくなる、でも寂しさも覚える、不思議で自由で楽しい傑作。ジャックロジエ監督の他の作品も観たくなった!