まいとん

プライド 運命の瞬間のまいとんのレビュー・感想・評価

プライド 運命の瞬間(1998年製作の映画)
2.5
東條英機視点の東京裁判は賛否両論あると思いますがいくらか価値があると思います
セットも大ががりで見ものです
途中幻想の能が挟まれたり作家の個性が邪魔していますが
東京裁判映画としてみれば価値があります

が、チャンドラボースやパール判事の話を加えているために視点が歪みました
群像劇にして各々バランスよくドラマを展開させれば面白くなったかも知れません
ブレイクニー弁護士などなどもっと描けたと思います

この映画が作られたときは随分と議論の的になりましたが、今見ると穏健な内容のようにもみえます
問題のある部分はありますが
もっと映画的に面白くテンポ良く描いていれば評価されたかもしれません

東條が裁判でいいようにやられて苛立ちを弁護人の清瀬一郎にぶつけると
負けたからやられてるんだと指摘されて
それを言うなとしょんぼりしちゃう東條など笑えます

裁判のポイントですが
天皇を守るために東條英機は自分の内閣の責任でアメリカとの戦争を始めたと答えました
神を守るため、国体を守るためという論理です
本当の責任は天皇にあるのは明らかです
しかし東條が責任を認めたため捻れが生まれました
アイヒマンの裁判でアレントが追及した問題が含まれているのですが日本では明確に出来ませんでした
丸山眞男が超国家主義の論理と心理で提示した問題をもっと真剣に考え反芻する必要があると思われます
時々英霊に顔向け出来ないとか言いますが、本音は違うのです
翻って現在の国家元首や追随する政治家はどこを向いて政治を行っているか考えることも意味があると思います