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湖中の女の堊のレビュー・感想・評価

湖中の女(1946年製作の映画)
4.1
真正面からカメラに向き合う=照明と対峙する→瞳に光が反射して全員が涙目に見えてしまう、という点をきっちり中盤の唐突な「どうした、涙が出そうなのか?」で回収していて感動した。
ちゃんとVRちゅーやってて感動した(しかも1度目はフェイント)。画面に口紅かついてそれを画面外の手が吹くとかまでやってればキュアロンだったのに…(あそこで全く曇らないのは流石に不自然)
冒頭の情報量から明らかにゲームブック的な手法を試みた節もあり、情報量を観客にぶつけるだけぶつけて、解釈を提示しない版の『湖中の女』も観てみたかった。そういう意味で今作のタイトルは『フィリップマーロウの優雅な冒険〜湖中の女〜』。

主観ショットの映画というよりロープ並みの長回し映画。タバコが画面下からモクモク不恰好に、諦めずに何度も何度も炊かれるたびにスタッフの苦労を考えて涙が出そうになる。絶対メイキングドラマを今作ったら面白い。
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