イチロヲ

湖中の女のイチロヲのレビュー・感想・評価

湖中の女(1946年製作の映画)
3.5
失踪中の社長夫人を捜索する私立探偵が、湖で発生した殺人事件との接点を追求していく。レイモンド・チャンドラーの犯罪小説を映像化している、ミステリー・ドラマ。主人公の一人称視点を採用している。

「皆さんは私が見たもの、そのすべてを目にする」という前口上のあと、映像が一人称視点へと切り替わる。暴力描写や車の運転描写まで登場するため、昨今のビデオゲームを経験していると、手元のコントローラーで主人公を操作したくなる。

肝心の捜索劇は、関与する人物たちの証言を収集しながら、鑑賞者のミスリードを狙っていく、ミステリーの典型的パターン。パズルのピースが合わさり、主人公が優位に立ちそうになると、巻き込まれ型へと転調する。

さすがにカメラマンの存在感を拭い去ることはできないが、カメラ目線を守り、表情筋をフル活用させながら芝居する役者陣にサムズアップを送りたくなる。容姿端麗な女性から一瞥されたときのドッキリ感が最高潮。
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