菩薩

男と女の菩薩のレビュー・感想・評価

男と女(1966年製作の映画)
4.2
シャバダバ派とダバダバ派に大きく二分される『男と女』であるが、ここで敢えてラバタバ派を強く主張したい、とかどうでも良くて、下町の玉三郎こと梅沢富美男の「夢芝居」では、男と女はあやつりつられあったり、細い絆の糸引きあったり、心の鏡覗きあったり、対のアゲハの誘いに誘われたりしとる訳で、あちらが恋はいつでも初舞台なのであれば、こちらは愛はいつでも初レースと言ったところか。レース終わりで疲れ果てた身体に鞭打ち、棚橋以来の「愛してま〜す!」に応える為雨の中車を飛ばす男、車中その脳裏を巡るあーでもないこーでもない自分会議の様子なんての、俺すごい好きよ。けどそのカーナンバーは「184」な訳で、そりゃもう「い・や・よ」で誤解されちゃわない?とか思ってしまうが、男の「ア・イ・シ・テ・ル」のサインもばっちし女に届き、彼自身のエンジンもフルスロットル、ハイオク50リットルと一緒に絶対レッドブル飲んでる。けどまぁ女の指には外せぬ指輪、頭の中には消せぬ幻影、生者は死者には勝てぬ現実、例えば僕が死んだら、そっと忘れて欲しいと言われても…残された側は困るよね。電車で逃げ去る女を、再びハンドル握り直し追う男、ホームで見つける彼の姿に、思わず飛び付き抱擁と口づけを交わすが、男と女のその後の行く末は誰にも分からない、それを知るのはそこに芽生えた愛の意思、ただそれのみである。
菩薩

菩薩