ずどこんちょ

男と女のずどこんちょのレビュー・感想・評価

男と女(1966年製作の映画)
3.5
♪ダバダバダダバダバダ……でお馴染みの有名な曲が流れる、男と女の愛の駆け引きを描いた大人感溢れる名作映画。
面白いのが、モノクロとカラーをうまく使い分けて主要登場人物の心情を表現しています。セリフとか、ストーリーではなく画面の色を通して心情を伝える演出は、さすが芸術の都フランスならではのアートな表現の仕方でした。

で、その上で見ているとタイトルにある「女」の方のアンヌは亡くなった旦那との思い出ではいつもカラーパートになるのに、「男」の方のジャンとの交流はデートでも気さくな会話でもどうにもモノクロパートになってしまうのです。
これが未亡人アンヌの真実の気持ちなのでしょう。愛した男が亡くなった今、世界は色褪せてモノクロに見えてしまう。
素敵な男性が表れても、やっぱり世界は色を取り戻さない。
アプローチする男の姿が切ないです……。

妻を亡くしたジャンと、夫を亡くしたアンヌ。
それぞれの子供を介して知り合った2人は、互いに距離感を掴みながら惹かれあっていくのですが、その愛の行方は押したり引いたりと時間をかけて育んでいきます。
子供のこととか、亡くなったパートナーのこととか、それぞれの立場や過去を踏まえた心境があって簡単には踏み出せない。
それが大人の恋愛、というものなのですね。
おフランスの恋愛講座映画、大変勉強になります。