プリンス

誓いのプリンスのレビュー・感想・評価

誓い(1981年製作の映画)
4.2
クリスマス、終わりましたでしょうか?敗戦国の仏教徒である私はガクガク震えながら、布団にくるまって寝ておりました。あ、単なるストーブの灯油切れであります。悪意はございません、プリンスです。さて、残念ながら映画のレビューをしなくてはなりません。普段はなるべくレビューは避けるジャンル、戦争映画。変な邦題「誓い」であります。
第一次大戦のイギリス軍の援軍として送り込まれるオーストラリア軍の若者達を描いた作品でありますからして、私からは遠いので好き勝手に書ける訳です。
オーストラリアの片田舎で無敵を誇るストイックなランナーのマーク・リー扮するアーチー君とお調子者なチンピラランナー、我らがメルギブソン扮するフランク君。
ある原始的な陸上競技大会でライバル関係になった事から、友情が芽生える訳ですよ。これだからスポーツってやつは良くない。あ、失礼。当時のオーストラリアの立場的なモノなのか若者特有のアレなのかわかりませんが、前半部分、戦争に対する意識が相当にカジュアルに描かれているんですね。志願して騎兵隊になれたらカッコイイ!抱けるぜぇ〜!てなもんですよ。正義感の強い意識高い系アーチー君の勧めと大多数の大人達の無責任な世論と雰囲気に押されて、俺の戦争じゃねーし!知らねーし!と、終始無関心だったゆとりフランク君もなんとなくのお付き合い。みんなで仲良く、志願からの入隊となる訳ですね。
しかし入ってみたらオーストラリアの軍隊っつうのが、これまたユルイ。武士のプライドも横綱の品格もゼロ。貴様、母ちゃんのパイパイが欲しいのかぁ〜!!的な要素も皆無ですよ。上官はみんなハートフル軍曹ですよ。面白おかしいまま、おふざけ訓練。フットボールしたり、フルチン海水浴したり。。あ!!メルギブソンのフランク見えたっ!??巻き戻し巻き戻し!! はっ!!イカンイカン。点鼻薬!点鼻薬!
ここで映画が終わりなら、ただ飯が食えて女抱き放題。兵隊さんはやめらんない訳ですよ。皆んな戦争行きたくなるわ。
しかし、物語後半、そんなグータラ呑気なオージー達は何も知らずに戦地、トルコのガリポリに出兵。
はぁ?つうか、これってマジ戦争じゃね?弾飛んで来るし、超ヤバいんですけど。
様相一変です。戦争行ったからにはONかOFFしか無いことに気づかされます。そして意味があるのか無いのか、無茶な塹壕戦。バカな作戦で、もう死にまくり。イギリスとドイツの戦争ですからね。オーストラリアなんて下請け扱いなんですよ。ハートフルな上官の上の上のまた上の方では、本気で戦争やってますから!そこに終始気づかないままのオーストラリア人の人の良さ。そんな中で追い詰められてゆくアーチー君とフランク君。銀座の盗塁王、柴田勲並の足の速さを見込まれて、ある重要な任務を任される訳です。西洋人特有の男同士のトゥーマッチな友情や自己犠牲の精神やらは描かれてますが、戦争映画にありがちな主義や思想を押し付けないあたりが好感持てる訳ですよ。戦争が悲惨で良くないなんて、分かり切ったメッセージは要らんのですよ。下っ端はね、生と死のみでございます!
そして、モンティパイソンの様な一瞬で全てを足で踏んづけて終わるこのエンディングは私の大好物な訳であります。
これはもっと評価されるべき映画でしょうね。そしてちゃんとしたレビューを書かれるべき作品でございます。モチロン、わたくしのフォロワーの皆様にも是非オススメでございます。でわまた!
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