ラヴ・ストリームスの作品情報・感想・評価

「ラヴ・ストリームス」に投稿された感想・評価

mare

mareの感想・評価

4.0
カサヴェテスの集大成に相応しい愛の暴走、愛の喪失、愛の執着、壮大な愛の流れへと帰結する。実際の夫婦の関係性をフィクションの姉弟という鏡像に映し出した人間が人間たる所以のカサヴェテスのファイナルアンサー。愛という承認地獄の先に無数に待ち受ける現実の儚さと幻想の誘惑、理想形を思い描いた人々に無残にも訪れる敗北と瓦解。家に帰るだけで、目の前を歩くだけで平穏を約束される人生。かつてそれを味わった者たちは苦汁を一滴一滴と味わい、もはや正常な判断は不能、支離滅裂な言動を繰り返し、破綻した日常の中の非日常。破滅なのか再生なのか誰にも分からない終着点。
拘泥

拘泥の感想・評価

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これはカサヴェテスもうちょいいっぱい観てから見直してもよいですか?あまりにも遺作然とし過ぎていて、キャリアを見直さないと少し勿体なかったかもしれん…とりあえず動物ウケた。
ネムル

ネムルの感想・評価

5.0
ジーナ・ローランズの痛々しさとどんくささ、破綻すれすれの映画だが、しかしこんなん泣くやろ。
大人は一人じゃ寝られないんだ、わかるだろ?のガチクズがツボった。
(破戒僧と行脚僧)の禅問答の如き141分が、あらゆる意味でサスペンス、アクションと化してあっという間に駆け抜けていくのだからただ事ではありません。

ジョン・カサヴェテス
『ラヴ・ストリームス』

そして何たる不思議か。
劇中のジーナ、ジョン姉弟と同じようにいつしかボロボロになった自分をそこに見つけていました。
この映画は、まだ私の手には負えない。そんな風に思う。1回目観て、ほとんど寝て、2回目はかなり寝て、そして今日が3回目。序盤はウトウトしたけど、途中からのめり込んだ。きっと4回目はもっといける。5回目はもっともっといける。私が成長できたら、懐を深くすることができたら、頭も感情も鋭くなれたら、更にもっといけると思う。つまりこれは、底なしの、限りのない映画だ。この映画に終わりはない。愛に終わりがないように。愛は流れ、愛は続くように。


愛に取り憑かれた人たち。夫と娘への愛があふれすぎて容器からこぼれてしまい、その愛にこだわるがゆえに壊してしまうサラ(ジーナ)。息子への愛し方もわからず、というか、人を深く愛したいし、人と深く付き合いたい気持ちはあるのに、深くそうするやり方がわからず、(多分)途方に暮れているロバート(ジョン)。どんどん混乱し、悲劇と喜劇が混じり合い、混乱と覚醒とも混じり合い、夢と現実の境目もわからなくなり、それでも求めるものがあるという崇高さ。


私は、ジーナの、今にもこぼれ落ちそうな涙を、目にためている姿が好きだ。本当に美しいと思う。なんとか留まろうとする姿も、夢から目覚めてそこから歩いて行く姿も好きだ。出会ったばかりの人とも、関係を結べる姿も好きだ。狂気と正気の間で必死に留まろうとしながらも、ジーナという人は、閉じていない。他者に対して、常に自分を開いている。そうか、ジーナもジョンも、どんなに混乱をきわめようと、途方に暮れようと、常に他者と関係を結ぼうとしているのかもしれない。他者に対して自分を開いているのかもしれない。人と関係を結ぶことはとても困難なことだけど、どれほど苦しくても、それを諦めていない姿が美しいのかもしれない。


ラスト・ショットのカサヴェテスのさよなら。でも、私は、カサヴェテス作品に、なんどでも会いにいこうと思う。
〈愛の過剰。愛の欠乏。決して掴めぬ愛の流れ〉

 金熊賞を受賞し、ジョン・カサヴェテス最後の傑作と称される本作『ラヴ・ストリームス』は、痛々しく生々しい大人たちの姿を捉えたカサヴェテスらしい作品だ。自身が製作した舞台劇を翻案している。

 カサヴェテスと云えば、粗暴で破壊的で命を削りながら生きる人間たちが見ものだ。それをベン・ギャザラやピーター・フォーク、ジーナ・ローランズら名優(盟友)が躍動感のある演技で担ってきた。表情や身振りが脚本に記載できない単位で気まぐれに変わっていくさまは、例えばロベール・ブレッソンの質素に統御されたモデル演出とは対極にあると云えるかもしれない。

 本作では、実の夫婦であるローランズとカサヴェテスが、それぞれ離婚を経た姉弟に扮している。ローランズは「子を愛するが、子に愛されていない」母親、カサヴェテスは「子に愛されているが、子をうまく愛せない」父親という役柄だ。愛が強大だと子は窒息してしまうが、愛が欠乏していると子は流血してしまう。それぞれ愛の構築の難しさに苦しんでおり、慰めあうのだが、その苦しみがある種真逆であるゆえ互いを理解することができないのだ。

 確かにそこにある血の繋がりの強固さ。公然とした場で自滅していくローランズ。空元気による健全な家族像の構築。どうしていいかわからない子ども。そして別の愛への逃避...。『こわれゆく女』『グロリア』と符合する要素をふんだんに詰め込み、それを例に漏れず丁寧な説明を拝したぶっきらぼうな語り口で紡いでいく。

 最後、カサヴェテスは雨に濡れる窓越しにこちらへと帽子を振ってみせる。それはカサヴェテスが生涯挑んできた愛という難題への諦観であり、我々に向けた別れの仕草であった。
Cliff

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3.8
なんかすごい濃い〜な
ENDO

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4.0
独りよがりな姉弟はいい歳して一夜の関係を寂しさの拠り所としている似たもの同士。女の尻を追いかけ転倒し流血、再婚した妻の夫に殴り倒されまたも流血。宙返りで飛び込むプールの濃い群青は不透明。大量の動物を持ち込み半ば動物園と化す庭。安定の横たわりローランズのプッツン。夢のパーティーグッズの悪ふざけの居た堪れない。嵐の夜に立ち去る判断も含めて全てが正常とは思われないが、犬を人化して警戒した上に姉を必死に引き留めようとするカサヴェテスも非常に哀れで狂っている。『愛の流れ』という皮肉なタイトルはその滞留してしまった感情を再び取り戻そうとする哀願でもある。嵐の夜の乾いたカサヴェテスの笑いが未だに頭蓋に反響している。
何かとんでもないものを観てしまった気がする。カサヴェテス作品は"グロリア"だけ観たことあったけど、ここまで前衛的だとは思わなかった(特に後半)。出てくる人全員ダメ人間だし。すぐには整理できなさそうです。
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