アル中の母親とトレーラーハウスで貧しい暮らしをしているロゼッタ。彼女は貧困に苦しみながらも、厳しい社会を必死に生きようとする。
ベルギーの兄弟監督 ダルデンヌ兄弟の第2作目。
本人は安定した職に就き、真っ当な暮らしを望んでいますが、事は上手く運びません。暮らしている環境も、中々職にありつけない社会もロゼッタには容赦ありません。途中、恋愛に発展しそうな雰囲気になったりするんですが、ロゼッタはホントにただ生きることだけに執着します。自身の力で生きようとする芯のある女性のはずが、人を裏切り、蹴落としてしまう。貧困というのはそれくらい深刻な問題なんだ と改めて実感しました。
そんなロゼッタを演じたエミリー・ドゥケンヌの演技が素晴らしい。社会や環境に対しての怒りや上手くいかないことの哀しみが詰まった目がめちゃくちゃ強い。この強いまなざしや感情的になる彼女の姿は非常に痛々しかったです。
手持ちカメラでBGMもなく、まるでドキュメンタリーかのような演出がリアリティを増長させ、まるで自分がそこにいるかのような気持ちにさせてくれます。
社会問題をシニカルにぶつけてくる感じはカンヌの好物の匂いがしますね。演出・演技ともに秀逸で、パルム・ドール、主演女優賞も納得です。
