■STORY
父を亡くし、銀座裏で八百屋を開く伯父・常吉のもとへ、母に連れられやってきた秀男。母は女中として勤め始め、長野から持って来たカブト虫と寂しく遊ぶ秀男。都会の生活に馴染めない秀男の友達は昭太郎と順子だった。間もなくして、母親が男と駆け落ちする。
■NOTES
当時、併映は黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』であった。なんて豪華なプログラムだ。
ここらへんから東宝スコープが採用されていったのか
斎藤一郎さんの音楽もいいな
カブト虫、林、船で見えない海、線路、ギター、バイク
容赦ないな
ことごとく周りから人や物が遠のいていく。隣にいたのはカブト虫。
脚本の笠原良三さんは『サザエさん』シリーズの脚本も担当していた
女性映画で名高い成瀬巳喜男監督が、前年の『コタンの口笛』に続いて子供を主人公にした作品。
祖母の家が長野にあって、ほぼ毎年行っているので、「〜ずら」という語尾が懐かしい。
下町を舞台に大人たちの複雑な人間関係が絡む成瀬の真骨頂とも言えるプロットだが、翻案にあたり主人公の少年に成瀬本人の幼少時代が反映されており、自身や自作について寡黙だった成瀬の半生が窺える貴重な作品である。
「大人たちの勝手な事情に振り回される少年少女の健気な姿を描いたストーリーや、2人のささやかな繋がりを描いた演出など、作品としての完成度も高く、成瀬ファンからも総じて人気のある晩年の快作である」(Wikipediaより)
「うるさい!子供!」