Automne

秋立ちぬのAutomneのレビュー・感想・評価

秋立ちぬ(1960年製作の映画)
4.8
純粋無垢ゆえの悩み。死んだ父、上京して疎外感を味わったあとで、ひとつのロマンスに出会う。美しい逃避行、黄色い海。
お母さんは駆け落ちて、近所からは忌み嫌われ、一番親切にしてくれた兄ちゃんまで、最後は江ノ島に行っちゃって、女の子も引っ越して、最後にもう一度観る海。あの日ふたりで観た海。切ない悲哀が観終わってからもずっと漂う。
カブト虫が欲しかった。好きな子のために欲しかった。いまは既に無用の長物。
大人と子ども。子どもは何にも分からないと思われて、それでも彼はいろいろ懊悩し、考えていたのだ。
どうしようもない涙が美しい珠玉の中編でした。成瀬巳喜男、最高です。
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