HK

西部番外地のHKのレビュー・感想・評価

西部番外地(1970年製作の映画)
3.4
なんという邦題。マカロニではなくハリウッド西部劇です。念のため。
日本ではタイトルに“番外地”がつくヤクザ映画が流行っていた頃なんでしょう。たぶん。
原題は“マチョ・キャラハン”。
あちらではありがちな主人公の名前のみのシンプルなタイトルです。

キャラハンを演じるのはデビット・ジャンセン。
この人、TVドラマ『逃亡者』でおなじみですが、映画だとこれまでに私が観たのは『宇宙からの脱出』『パニック・イン・スタジアム』くらいでしょうか。

本作はベトナム戦争の真っ只中、アメリカン・ニューシネマやマカロニ・ウェスタンが台頭してきた頃の1970年の作品ですから、勧善懲悪でもなく非常に暗いトーンの西部劇です。
ある男に騙され南北戦争に従軍することとなった主人公は、軍を脱走して追われながらも復讐を誓いますが、ちょっとした諍いからある男を殺してしまい、その未亡人から賞金をかけられ、さらに追われることに。

未亡人役は最近その不幸な半生が映画になったジーン・セバーグ(『悲しみよこんにちは』『勝手にしやがれ』)。
途中、格闘でキレイな顔を無残にボコボコにされながら女優魂を魅せつけてくれます。普通、こんな役、キレイな女優はやりたがらないでしょう。
この人、意外と本作や『ペンチャー・ワゴン』など、西部劇でも何度かお目にかかってます。
私は前からシャーリーズ・セロンに似てると思っているんですが、似てませんか?

他に共演はリー・J・コッブやデビッド・キャラダインですが、これがもうあっという間に退場。後からチンピラ役でボー・ホプキンスも出てきたので、当然こいつもペキンパー作品のようにあっさり死ぬと思いきや、意外にも最後まで生き残りました。
西部劇常連脇役マット・クラークが珍しく悪役で凄んでましたが、やはり序盤ですぐ退場。

ヒーローとはほど遠い主人公だし、終始やるせない展開の暗い西部劇ですが、セバーグの顔の傷とともに妙に印象に残る作品でした。

Filmarksさん、今回もジャケ写のアップありがとうございます!
HK

HK