イチロヲ

三十九夜のイチロヲのレビュー・感想・評価

三十九夜(1935年製作の映画)
4.0
女性諜報部員を狙った殺人犯に仕立てられた男が、無実の罪により警察の追跡を受けてしまう。ジョン・バカンの小説を映像化している、サスペンス映画。

「巻き込まれ型、孤立無援の逃避行、背中にナイフ、諜報部員、汽車」などといった、ヒッチコック的要素が完成形となっている作品。「暗殺者の家」と「恐喝(ゆすり)」を、融合させたような内容になっている。

日常が急転直下してしまう恐怖と警察に頼ることのできない恐怖の相乗効果。主人公補正が強すぎるため、「さすがにそれはないでしょ」とツッコミたくなる場面が頻出するけれど、場面転換が早いこともあり、あれよあれよと牽引させられる。

後半部に入ると、主人公とヒロインが手錠で繋がれたままでのアドベンチャーが繰り広げられる。手錠を掛けられた状態のヒロインが、ガーターストッキングを脱ごうとするシーンは、完全にヒッチのフェティシズム。
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