滝和也

三十九夜の滝和也のレビュー・感想・評価

三十九夜(1935年製作の映画)
3.8
ナイフで一突きにされた
謎の女の残した言葉、
「三十九階段」とは?
英国機密情報が海外に
持ち出される⁉

巻き込まれた異邦人の
運命や如何に!

「三十九夜」

アルフレッド・ヒッチコック監督の英国時代の佳作。巻き込まれ型サスペンスの基本的要素を持つ原型です。

けんかから発砲音が聞こえ、騒然となる劇場。そこでカナダ人ハネイは見知らぬ女性に声をかけられ、自宅へ連れ帰ることとなる。だが彼女は部屋でナイフで殺された。ハネイは謎の組織と警察に追われながら、彼女の残した言葉を頼りに無実を証明するため、機密情報の行方を追う!

典型的な巻き込まれ型サスペンスであり、以後のヒッチ作品の原型となる作品だそうです。ジョン・バカンのスパイ小説を素に脚色され、次から次にピンチに陥る作劇は正にサスペンス・エンタメの王道を行きます。

また劇場で始まり、劇場で終わる展開や伏線が丁寧に張られたギミック、そのラストでの回収の巧みさに古い戦前の映画ではあるものの、初めて見た際には唸らせて頂きました。そのギミックは中々繫がらないし、気付かないですよ(^^)

加えて印象深いのは、悲鳴と列車の汽笛が被さりシーンが変わる所や、賛美歌の歌集により、危機を脱するシーンの豪快な展開など、楽しめるギミックが多く散りばめられてます。他にも荒野の逃走劇での望遠カットも大胆。シルエットのみが映るシーンも好きです(^^)

ただ何処か、のんびりした感じに見えるんですよね。いくつかのセット撮影がわかりやすかったり、警察や敵がちょっと抜けてたりして。また主人公と巻き込まれるヒロインの会話や助けてくれる方にユーモアがあったり。良い意味でハラハラするけど切ない程ではないんですね。のんびり楽しめる感じなんです。

後、ヒッチ作品はヒロインが大事なんですが、今作は前半登場し、しばらく出てきません(笑)。ただ、主人公と手錠で繋がれたり、後半は活躍します。彫りの深い美人さんのマデリーン・キャロルです。確かもう1本ヒッチとは組んでます。私もお気に入りかな(笑)

ヒッチサスペンスの原型と言うことは、現代にも通ずる活劇とサスペンスを巧く組み合わせた、追いつ追われつのエンターテイメントの原型と言っても良いのかな。お暇な時に是非(^^)