紅茶

お引越しの紅茶のネタバレレビュー・内容・結末

お引越し(1993年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

相米監督の名作をリマスターバージョンで鑑賞。別居夫婦のもとで逞しく生きる12歳の少女レンコを描いた物語。レンコを演じる田畑智子さんは天真爛漫でかつ時折見せる俯瞰した視線を備えた雰囲気を醸し出しており思春期らしさを見事に表現していて適役。お互いに欠陥を抱えた夫婦を中井貴一さんと桜田淳子さんが演じるがこれもまた適役。レンコは両親の家族としての在り方を受け入れるべく、"大人"になる為の儀式として鬱蒼とした森で彷徨う。神輿を乗せた龍の船が燃え尽きた後に、彼女から発せられた「おめでとうございます」という言葉の決意表明的な大仰しいセリフ選びも秀逸。ここまでの一連のシーンは30分?くらいあるのかな。ほぼセリフなしで12歳の子が演技するのは素晴らしくシュールでクール。総合的に素晴らしい作品でした。
やはり相米監督はティーンネイジャーの有り様を精細に描くことのできる数少ない監督だと言える。

またロケハン選びが功を奏したとも言えるほど独特な地形や家の間取り、団地の作りなど印象的。漆場家の三角形のダイニングテーブルもまた良い。
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