独裁者のカスのレビュー・感想・評価

　何より1940年の戦中に世界がまだナチスドイツの悪行に気がついていない時にこの映画を作っているチャップリンはすごい。
　物語としての強度は強いものではないが肉体の動きで話に集中できる。大量に散りばめられた皮肉が最高に効いている。地球儀の風船で遊ぶシーンの美しさは本当にすごい。ラストの演説はもはや演説として歴史に残るものだと思う。1940年に有色人種の自由を大衆映画で言い放ってしまうチャップリンの考えは素晴らしいものだ。