ピュンピュン丸

新・男はつらいよのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

新・男はつらいよ(1970年製作の映画)
5.0
寅さん4作め。天才喜劇役者 渥美清をこの世に送り出し、山田洋次監督と渥美清を引き合わせた、『男はつらいよ』の生みの親、大プロデューサー小林俊一氏が監督した唯一の作品。

「山田洋次よ、これが寅さんだ!」とでも言いたげな、全てにおいてド迫力の、そして後に続くシリーズの指標となるべき作品。何かが違う。タコ社長も、おいちゃんも、おばちゃんも、町の住民たちも動きがよく、喜怒哀楽の迫力が違っている!

おいちゃんの、「バカだね、あいつはホントにバカだね」と「おりゃ、もう知らねえよ」が、もうそれだけで小気味いいほど面白い。こんなにおいちゃんがオモシロイとは。(^○^)

財津一郎と渥美清の掛け合いはもう神業。馬券騒動からハワイ、財津一郎登場あたりまでがノンストップの爆笑劇。

ネタがいっぱいつまっているような映画で、それらが絶妙の間で構成されている。周りの人々の寅さんに対する気の使い方が可笑しくてたまらない。寅さんが「とらや」に入るときなんて、実にいい。(笑)

難を言えば、脇役陣が良すぎて、マドンナ栗原小巻があまり印象に残らない。でも下宿代のくだりはよかった。爆笑。

マドンナとボートをこぐときの寅さんの表情や動きって、『殺人狂時代』のチャップリンにそっくりだな。

一つひとつのカットも、重要な瞬間は、わざと別のものを映して想像させたりと、最初から最後までニクいほどよくできていた。脱帽。

星野哲郎に作詞を依頼したり、この人がいなければ、あの歌も無かったんだと思うと、本当に有難い。小林俊一さま、「寅さん」をありがとう。m(__)m