なやら

明日に別れの接吻をのなやらのレビュー・感想・評価

明日に別れの接吻を(1950年製作の映画)
4.0
面白い! なんといってもキャグニーの暴力人間ぶりが素晴らしいのだが、そんなキャグニーを取り巻く超激情系ファム・ファタール×2、「ベター・コウル・ソウル」みたいな悪徳弁護士、甘い汁を吸ってる感がゼロでいつも辛そうな汚職警官コンビ等、登場するキャラがいちいち面白く飽きない。
キャグニーが二人の女を落とす描写もそれぞれ最高だったりする。特に、ハイウェイを爆走して黒髪お嬢さんの方を落とすシーンがよい。表向きは普通にスリリングなシーンなんだけど、アクセル上で足を重ね合わせる→キャグニーが女の脚の上から強く踏み込む→速度が上がる、がそのまんまセックスの比喩っぽくなっててなまめかしい迫力あり。上がっていくスピードメーターはエクスタシーの昂揚とリンクしているようで、走るに連れて女の目がトロンとなっていくのがとてもエロい。これだけで全部分かっちゃうから、次のシーンで二人がいきなり恋仲になってても一切違和感ナシ。正面からセックスを描けない時代の想像力/省略力のやばさ。
あと終盤、その黒髪女に銃の所持を見咎められ、捨てられた時のキャグニーの芝居がすごく良かったな。怒りを押し殺す感じと表情の切り替えの間!
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