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ミイラの幽霊のhorahukiのレビュー・感想・評価

ミイラの幽霊(1959年製作の映画)
3.9
激かわミイラでお馴染みカリスたん再び!!
過去最強に有能な神官に仕えたけど、今度はカリスたんが他人の空似な女に勝手に欲情。そんで自ら職務放棄しちゃうお間抜けカリスたんムービー。

カリスたん映画の中で歴代最高に面白かった!
もうね、可愛すぎるんですわ。棺桶の中で立ったまま眠るカリスたん。背後から銃で撃たれて身をクネクネと捩じらせるカリスたん。上司に怒られても喋れないから言い訳もできずにあたふたするカリスたん。ハマーはカリスたんの魅力がわかってる!!

あらすじ…
アナンカ王女の墓の発掘中に、老考古学者が譫言を言い始め錯乱状態に…。彼はそのまま精神病院に入院、墓も呪われたものとして閉じられた。その三年後、彼の息子ジョンバニングは三年ぶりにまともに会話ができるようになった父の元を訪れる。父曰く、「三年前に自分は歩くミイラを見た。そいつがこちらに向かってくる」とのこと。誰も信じなかったが、その晩に何者かに父が殺害され…。

今まで散々カリスたんを奴隷のように扱ってきたユニバーサルから離れ、15年の時を経てハマーフィルムにて復活するカリスたん。まさに『ミイラ再生』!いや『ミイラの復活』!

そして、ご本人には失礼ですが、カリスたん役もロンチェイニーJr.→クリストファーリーとイケメン度が格段にup!会社も転職(ユニバーサル→ハマーフィルム)して、映像もカラーになって、しかもイケメンになっちゃったらもう向かうとこ敵なし!!

まずカリスたん復活のシーンが凄く良い!
色々あって沼の中に落ちちゃったカリスたんですが、血を連想させる赤の照明を沼の一面に当て、その後に白の霧が立ち込める幻想的というかあの世との境界を表すような演出の中で一歩一歩沼底から姿を現わすカリスたん。

全身をお披露目した後、胸の前で十字に固定された両腕を勢いよく振り下ろすシーンは、ユニバーサルからの決別と新たなミイラ映画を製作するという製作陣の強い意志を感じました。というのも、ユニバーサルのカリスたんは片腕を常に吊ってるような出で立ちで、両手を使えなかったんです。本作のニューカリスたんは両腕使って暴れますよ。

アナンカ王女の墓もカリスたんが眠ってた場所もエジプト。本作の舞台はイギリス。だからカリスたんはエジプトからイギリスに墓を暴かれた復讐のために遥々やって来るわけです。どれだけ年月が経っても必ず復讐するという神官の決意の表情、それから三年後に精神疾患の父親が発する俄かには信じられない言葉、闇夜を疾走する馬車。それらによって、安全で平穏な日常に彼方側から邪悪なものが侵食してくる恐怖を感じさせる。

色濃く感じるのは植民地主義的発想というか、侵略国と被侵略国の思想の違い。自国の遺産である王たちの墓を暴こうとするイギリスはエジプトにとっては侵略国であり、今回のカリスたんの復讐は、言い換えれば被侵略国であるエジプトのイギリスに対する復讐。それをイギリスの映画製作会社が作るという構造が面白い。イギリスvsエジプトを思わせるようなジョンバニングvs神官アトキルの舌戦は両国のお互いに対する価値観を代弁しているかのよう。こんなん見せられたら尚更カリスたん応援しちゃうわ!宗教等の精神的活動を無慈悲な暴力がねじ伏せるという構図は本当に辛い…。

そんで今回のカリスたんは超強い!&カッコイイ!中身がクリストファーリーなんで、高身長でスラッとした体型。作中では3メートルとか言われてます(笑)途中で訂正してたけどね。首を掴んで握り潰したり、猟銃で何度もぶち抜かれて少しだけ怯みつつも前進し続ける姿だったり、槍が腹を貫いても敵を殺そうと動き続ける姿は、後のJ先生(6以降)だったりターミネーターを思わせる力強さと威圧感。ちなみにラストは『ターミネーター2』です。これ絶対ジェームズキャメロンに影響与えてるよ!「ターミネーターとJ先生の元ネタはカリスたん説」を提唱したいと思います(笑)

記念すべき初のミイラ映画である『ミイラ再生』のリメイクと言われている本作ですが、実際に見てみると『ミイラ再生』の面影は確かに感じるものの、『ミイラの復活』〜『ミイラの呪い』まで続くカリスたんシリーズをうまく繋ぎ合わせた内容となっているように思います。大筋は『ミイラの墓場』で、カリスたんの復活は『ミイラ再生』と『ミイラの呪い』、クライマックスは『執念のミイラ』、主役等のキャラクター的には『ミイラの復活』という感じ。

ちなみに監督のテレンスフィッシャーは『ミイラ再生』を見たことなかったそうです。過去作の真似事はしたくないという心情のもと本作の監督をしたらしいですね。多分話や設定の共通点は脚本家によるところが大きかったんでしょう。

『血に飢えた島』でも見られた舞台づくりの強引さは本作でも見られ、説明的描写・セリフが非常に多いのはフィッシャー監督のらしさなんでしょうかね(笑)正直ダサダサなんですが、この時代だから許せるというか、そのダサさすら味にしてしまってるので私的にはアリです。セットの空間を贅沢に使ったキャラクター・カメラの移動や、窓越しに見える影、絞殺シーンの映し方等々、好きな演出も多くて好みな作品でした♫ところで、ハマー産ミイラ映画は後何作かあるんだけど、カリスたんは出てるのかな?笑
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