ひでG

人間の証明のひでGのレビュー・感想・評価

人間の証明(1977年製作の映画)
3.5
1977年は日本映画大作の当たり年。興行収入ベスト5に3作品。

「八甲田山」「八つ墓村」そしてこれ。

三つの中では一番まとも。最も映画らしい映画だと思うよ。

どの作品も映画とともに、劇中での重要なセリフがキャッチコピーとして使われ、ヒットに貢献した。なかなかうまい宣伝。

ただ、「たたりじゃあ〜!」と言うほど、「八つ墓村」の怨念は大したことなかったし、
「天は我々を見放したか!」と北大路欣也が叫んだのと同時に「観客も見放された〜!」と叫んだ人も多かったのでは。

その点、「ママ〜do you remenber ?」
「母さん、僕のあの麦わら帽子、どこ行ったんでしょう?」は、
作品の哀しい部分を代弁し、まあベタだけど、ミステリーの要素も醸し出す名コピーだと思う。

当時、「読んでから見るか、見てから読むか?」も角川が送り出した名コピー。

私は「読んでから見た」のだけど、高校生でも読める分かりやすさと、結構伏線や場面転換が多い、ちょっと新しい感じのする推理小説だったなあ。

その場面の多さなどをまあまあ整理して見せてくれたし、何より出ている人たちの「大物感」が映画を華やかに見せてくれたかな。

松田優作、アメリカからジョージ・ケネディ、三船敏郎も出てた。
そして、フィナーレは、大女優の貫禄たっぷりに岡田茉莉子が締めてくれた。

この映画は肝の部分が過去の忌まわしい出来事→連合国占領下の日本との結び付いている。

思うに1977年という時代は、占領下のドラマをリアルなものとして見れる最後のラインたったのかもしれない。
占領下とリアルタイムでつながるラストの時代。

だから、もう同じ形で「人間の証明」は作られないだろう。

華やかな日本の繁栄の影の部分がまだ残っている、隠しきれない最後の年。

そーゆー意味でも歴史を感じる作品で興味深いな。
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