らんらん

旗本やくざのらんらんのレビュー・感想・評価

旗本やくざ(1966年製作の映画)
3.5
元禄の中頃、お上が突然お米の値上げを決行したので市中の人々は憤慨し米屋に押しかける
そこで各米屋に用心棒的に出入りをし睨みを効かせるため無役の旗本たちが派遣された、その名もアカツカ組(みんな刀の柄が赤い)
当然赤柄組は市民の評判悪く、町奴と呼ばれる地元のやくざ明神一家と対立、命をかけて世のため人のため働く町奴たちは人々の支持を得ていた

実はこの状況を作り出したのは老中三島雅夫であり、扱いに困っていた旗本たちを取り潰すための計画であり、いずれ邪魔になるであろう町奴共々始末することが目的だったのだ、、、

三島雅夫の命を受けて隠密が遣わされ、その下っ端が主演の大川橋蔵
町奴は親分千秋実、子分衆に青島幸男、遠藤辰雄
赤柄組はリーダーに大木実、その妹に藤純子
米屋商人に金子信雄、内田朝雄、片岡栄二郎
その他吉原の太夫?に春川ますみが出演

タイトルに「やくざ」ってあるようにもうその路線の頃の作品ですよね
時代劇のスター大川橋蔵の映画出演最晩年の作品
ということでそれまでの東映時代劇とはテイストが違いますね

ジャンル的には娯楽作品だと思う、赤柄組なんかやくざ顔負けの脅し卑劣さを見せるんだけど、町奴たちのギャグ描写も多く、中盤には橋蔵と純子の青春ラブラブお祭りデートシーンがあったりもする
この2人の絡みって珍しいなーって、年齢差が気になったので調べたら橋蔵が35で、純子が21だって、やっぱそうだよねー、活躍時期からして世代違うもん

この映画の見所としては明らかに怪しいけど橋蔵の正体はなんなのかってのと、本当の倒すべき悪はなんなのかっていうところかな
最初のほうは大木実ら赤柄組が悪っぽいんだけど、彼らもさらに上の存在に利用されてるだけなのね
つまり、、、ネタバレすると老中三島雅夫が元凶、あと実は隠密頭?の金子信雄もいやらしい
三島雅夫はお家のためとか言って非道な命令を下しておきながら、実は自らも私腹を肥やしていたとかいうクズ

大川橋蔵は隠密として町奴に潜り込み計画を進めていたんだけど、だんだん町奴たちに情が移っていき、敵である赤柄組の粛清に対してもそこまでしなくても、、、的な感じで次第に板挟みになって揺れていくキャラクター

なんだかんだ勧善懲悪なハッピーエンド、橋蔵と純子がラブラブなシーンで終わる爽やかなラストだけどーー、なんかぬるいw 三島雅夫を脅すだけで成敗しないんかい、手ぬるいわ、まあ三島雅夫を成敗したところでその後が、、、ってのもあるんだけどー、そんなこと言ったらほとんどの時代劇がそうであって、悪はまた繰り返すんだけど、だからこそこれっきりの映画の中だけでもとりあえずの悪を滅してすっきりしたいのが時代劇なんじゃないの
まして千秋実や大木実が死んでるのに、悪が反省すると約束したから見逃すってのはちょっとぬるいわー
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