ペイン

乱のペインのレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
3.5
“三船・志村なき黒澤映画”

間違いなく一定水準以上の映画であることは前置きしつつオススメですと言いつつ、以下わたしの不満を書き連ねます。

三船敏郎、志村喬なき黒澤映画は本作の15年前の「どですかでん」からで、本作はその4作目になる。ただ確実にこの三船と志村を失った損失はデカくて黒澤映画にはマイナスになっている。

本作の仲代達矢をはじめとする俳優陣も素晴らしい演技なのだが、やはり「七人の侍」や「生きる」といった作品に比べると確実に見劣りするし、かつて黒澤映画にかかっていた“マジック”のようなものが本作にはかかっていないように感じた。こればっかりは理屈ではないのでどうしようもないのだが。

あと本作はこれまでの黒澤映画の傑作を支えていた脚本家、橋本忍が脚本から外れている。これはデカい。明らかに脚本が悪く、せっかくの巨額を投じて作られた圧倒的な映像世界も最初は釘付けになるも段々と飽きてきて長く感じてきてしまう。かつての黒澤映画にあった芸術性と娯楽性の両立が本作はイマイチ。ファーストショットは半端なく度肝を抜かれたのだが、その後は失速していくばかりだった。
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