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乱のYのレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
4.0
映画ファンとしては恥ずかしながら初のクロサワ映画。

もともと戦国時代が好きなので(日本の城オタクでもある)、合戦シーンの迫力、中でも三の城での戦いには圧倒された。これが80年代の邦画とは。
そして何より画が本当に素晴らしい。一つ一つのカットが芸術作品のよう。

ストーリーはシェイクスピアの『リア王』を和製にしたようなものらしいが、これは別に知らなくとも十分理解できる明瞭な内容だった。むしろこの手の歴史好きであるほうが重要。乱世における身内同士の争い、まさに“乱”だった。狂言師がたまに口ずさむセリフは教養なしでは難しかったけど。

ただ秀虎が狂ってからが長すぎる⋯。もう少し淡々と天からの視点でこの乱の顛末を描けばよかったのになと思う。

この秀虎役の仲代達矢は数十年後の大河ドラマ『風林火山』でも武田信虎役で息子に国を追われる運命なのはちょっと面白い。
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