1961年”噂の二人”監督 ウィリアム・ワイラー
脚本 ジョン・マイケル・ヘイズ
原作 リリアン・ヘルマン
原題""The Children's Hour""で、
「子供たちの時間」の意。
リリアン・ヘルマンの同名小説が原作。
ウィリアム・ワイラーの1936年映画の
セルフ・リメイク。
オードリーヘップバーンとシャーリーマクレーンの競演。
これだけでも必見ですが。
作品のストーリーは、僕の好みではありません。
俳優の演技が良いとか、内容が濃いとか、変わってて面白いとか、監督がいいとか、全部無視して。
ストーリーが嫌いな内容だったので がしかし
結局最後まで引き込まれて観てしまった。
やはり作品の内容がいい
充実していると認めざる負えないです。
ストーリーは
学生時代からの親友カレン（オードリー・ヘプバーン）とマーサ（シャーリー・マクレーン）は共同で寄宿制の私立学校を経営していた。
カレンの婚約者は地場の有力者ティルフォード夫人
(フェイ・ベインター)の甥である医者のジョー・カーディン（ジェームズ・ガーナー）と結婚するすることになり、それを共同経営者で親友のマーサに伝えるが、学校設立から2年が経過して経営も順調になってきたところで
マーサは快く思わない。
私立女子校といっても私塾のようなもので
戦前なので寄宿するのは良家の娘たち。
フランス語の授業風景も出てくるが、好奇心も旺盛な年頃で、ティルフォード夫人の孫娘で問題児の生徒メリー（カレン・バルキン）とロザリ―（ヴェロニカ・カートライト ）が二人に厳しく当たられているのを逆恨みする
特にメリーは病的なほどのわがまま娘で、学校でのしくじりに家へ逃げ帰り、そのまま学校へ戻りたくないばかりに祖母ティルフォードに訴えた。
「カレンとマーサは同性愛なの！」と二人が同性愛の関係にあると嘘の告げ口をする。
祖母ティルフォードはこの話を真に受けて保護者達に告げ、全員の生徒が退学してしまう。
事実無根だと、二人は祖母ティルフォードを名誉棄損で
訴えるが敗訴。
裁判は全国に知れ渡り、二人は町の見世物となる。
カレンの婚約者である医者のジョーからも不信感を抱かれてしまい、婚約解消。
カレンが一人の父親をつかまえて退校の理由を尋ねるシーンがある。ロングのワンカットで声は入らないが、
言っている内容は手に取るように判る。
ふとしたきっかけでメリーの嘘を知った祖母ティルフォードが謝罪と賠償を申し入れるものの、
カレンはこれを拒絶する。
マーサはカレンに対する隠れた本心を知ってしまう．．．
女子生徒の心ない嘘に翻弄させられる
女性教師二人の苦悩を描いた、
名匠ウィリアム・ワイラーの問題作である。
オードリー・ヘプバーンも普段とは違う役柄に
挑戦している。
シャーリー・マクレーンの上手さは当然である。
ただ、社会派のドラマなので女優の笑顔がないのが
残念です。
オードリーには荷が重すぎる役かもしれぬが、
可愛いだけじゃない清楚で綺麗な女性を演じ
ラストの毅然とした表情は素敵で、
この作品に一抹の希望の光を与える
ヘプバーンは相変わらず洒落ているね。。。
ワンピ、シャツ、カーディガン、コートの着こなしが
シンプルで清潔。時代に左右されないお洒落。
シャーリー・マクレーンの演技
このマーサは、見ていて胸が苦しくなる。
特に終局、「体に触れられていると苦しいのよ。」と
慟哭を聞くたび、涙を禁じえない。魂の叫びだ。
シャーリー・マクレーンの独壇場といってよい。
ただ。。ほんとうにマーサはカレンに対して
性的な愛情を持っていたのか
精神的に追い込まれ思いこんでしまっただけなのでは
ないだろうか。
マクレーン自身は、この映画のマーサの行く末に納得しなかったとか・・・。
シャーリーマックレーンの演技も然る事ながら
メリー（カレン・バルキン）とロザリ―（ヴェロニカ・カートライト ）の子役ふたりの演技が素晴らしい。
特にメリーという悪魔のような子供。
本当に憎たらしく許せない存在。演技はいや圧巻です。
それほど素晴らしい子役であるといえる。
どうもこのメリーは映画はこれっきりのようですね。
さて、遅くなったがタイトル「嘘で人を殺せるか？」の
答えはイエスである。
言葉は人を傷つけることもできるし、殺すこともできる。
本作では子供が苦し紛れについた嘘が、
人を自殺にまで追いやった。
子供は嘘をつく、自らを守るために。
本作は、今時の親に疑問を投げかけているような気が
してならない。
それは、子供の言葉を鵜呑みにしすぎて”うちの子に
限って”とタカをくくっている親が多いからだ。
子供の言葉を信じるか信じないかは、子供とちゃんと向き合っていれば分かると思う。
世の親御さん方、お子さんと会話されていますか？
スキンシップはありますか？
子供の嘘を見抜ける親でありたいと思いませんか？
