ごろちん

スターリングラードのごろちんのレビュー・感想・評価

スターリングラード(1993年製作の映画)
4.2
戦争映画の中で傑作と名高いこの『スターリングラード』(’93)は、独ソ戦の敗戦国であるドイツの作品です。非人道的なナチスを描いた作品が多い中で、人道的な振る舞いをする場面もちょくちょく見られます。戦場シーンはリアルで、吹雪舞う中での攻防は一見の価値ありです。


ところで、戦争映画は戦勝国、敗戦国で作風に特徴が出るような気がします。例えばアメリカの場合、太平洋戦争ものはヒーロー系、ベトナム戦争ものは不条理系が多いといった具合に(まだまだ観てない作品もたくさんありますし、明らかにそうじゃない作品もありますが)注:ベトナム戦争は敗戦というより撤退。

この作品は不条理系ですが、自国ナチスを批判的に描いているのは興味深いです。日本で自虐作品はありえないですし。

ただ、ナチス高官を悪者にして自国の兵士を美化しているシーンが所々あって、それが事実なのかはちょっと懐疑的。「ロシア人は下等民族」と植え付けられている兵士が人道的な振る舞いをすること自体驚きだったし、「ナチス高官悪者、兵士はそれに逆らえない被害者」といった構図が垣間見られて、もしかしたらドイツ国民の被害者願望が混じってるんじゃないかと感じました。

実際のところは突き詰めようがないので、あくまで一個人の感想です。いずれにしてもドイツ兵士とて国のために命を捧げた同じ人間であり、極寒の中何とか生き延びようとする兵士達を見ると、あーやっぱり戦争は悲惨だわ…とつくづく思うのでした。
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