ふくやん

スターリングラードのふくやんのレビュー・感想・評価

スターリングラード(1993年製作の映画)
4.5
戦争映画のドイツ軍は、大体悪役だったり、敵役だったりする。

この作品はドイツ軍の視点で描かれた「東部戦線」が舞台となる。
「シンドラーのリスト」を観たことがある人であれば、東部戦線行きを嫌がったドイツ兵2人を覚えているだろうか。

東部戦線は心身ともに凍てつく、第二次世界大戦でもっとも過酷な自然環境下で繰り広げられたソ連とドイツを主とした一大戦線である。

この作品で描かれる東部戦線も史実通りの過酷な極寒の世界で物語が進むことになる。
大きな大砲を積んだ厳つい戦車、すさまじい機関銃の弾幕、そういった圧倒的火力でなぎ倒す「よくあるドイツ軍」の戦闘はなく、泥雪にまみれ、地味ながら過酷な戦闘を繰り返し、心身ともに消耗していくドイツ兵達の姿が目を引く。
痛ましい描写もあるが、それらを無視して東部戦線を語ることはできない。
東部戦線という地獄を描いた、充分に価値のある作品だ。