健一

クルージングの健一のレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
2.9
昔からずっと見たかったのだが、勇気が無くてなかなか見ることが出来なかった作品。
今回TSUTAYA復刻版シリーズで再パッケージ化されたので 勇気を振り絞ってようやく鑑賞。
ウィリアム・フリードキン監督とアル・パチーノ主演。
血の気が多い二人がタッグを組んだ '79年の作品。
ちなみに「クルージング」と言っても 豪華客船🛳に乗る映画 ではございません。
「クルージング」とは「ゲイが街中で男をあさる」という意味もあるらしいのです。
それだけ聞いただけでも恐ろしい。

ゲイのたむろするN.Y. クリストファーストリート。
ホモセクシャルの男性が次々と殺害される殺人事件が多発する。
そこで ひとりの刑事が推薦され 彼はゲイに扮し 潜入捜査を試みる。
初めは戸惑いゲイバーに通うだけの 空振りな日々。
だが 執念を重ねるごとに彼ら(ゲイ)の行動パターンが見えてくる。
次第に犯人を追い詰めていくのだが、それと同時に刑事も この世界にハマっていき 抜け出せなくなる怖さを感じていた・・・

題材はスーパーハードなのだが 演出自体は意外とクール。
もっと「氷の微笑」のように ブッ飛んだ作品なのかと思っていた。
とは言え ゲイバーのシーンで男達が戯れるシーンは 思わず目を背けたくなるのだが 彼等の世界を描く以上は このシーンは外せない。
まぁ、風景の一部と考えれば チョイとキツイが耐えられない訳でもない。

被害者達の特徴が「黒い髪 黒い眼」という事で 潜入捜査を命じられたアル・パチーノ扮する刑事。
この時代のパチーノといえば 大声でいつも吠えまくっている印象なのだが 今回はとても静かでクール。
たまにキレるが吠える程ではない。
職務を全うしようと務める傍ら ゲイの世界に堕ちまいと静かに悩む姿が印象的。
彼を支える恋人役のカレン・アレンも、スピルバーグは本作を観て「レイダース」に抜擢したのかな? と思ってしまうほど 美しい存在。
そしてパチーノの上司役でミラ・ソルヴィーノのお父ちゃんことポール・ソルヴィノ!
出番は少ないが圧倒的な存在感。
まだ髪もフサフサで 若き頃のポール・ソルヴィノが観れるとは。

本作は全米公開の約一年後の '81年に日本で公開された作品。
その後 地上波で放送されたのだろうか?
いや、無理ですよね?さすがに。
水野晴郎さんもこの作品見た後で「いやぁ、映画ってホントに良いもんですね!」とは言えないでしょう。
私もアル・パチーノの大ファンですが、本作はオススメしかねます・・・

とにかく私にとっては 恐ろしく 近寄り難い世界でした。
健一

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