グラビティボルト

クルージングのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
3.6
ハードゲイを狙う殺人鬼を捕まえる為、パチーノ演じる刑事がゲイとしてクラブに潜入捜査する。
明確な手掛かりを掴む映画ではなく男同士がひたすら絡み合う空間に通い続ける事で刑事の内面が揺らぐ様を捉える。ラスト、継承される殺人は「CURE」を連想。

ハンテッドなどと同じく「主人公が『向こう側』へブッチギるフリードキン映画」として本当に最高。
主人公は臨んで潜入に踏み切るし、
「CURE」の暴力性の発露みたいな巧みさではなく、クラブへ通い、夜の街を歩く動作そのものが犯人とリンクしてしまう映画なので、引き返せる切欠が存在しない

真犯人の描写、ただ筋トレをし、ランニングをする動作を撮ってその合間に父親との確執をチラつかせるだけなので、何がきっかけなのはハッキリし過ぎない語り口が
「スクリーンの内側の殺人鬼やそれと同調する刑事」と観客との境界線をあやふやにしている見応えがあった。
胸に停滞する恐ろしさという意味で、「エクソシスト」より断然恐ろしい映画だったと思う。
あと、主人公が潜入するクラブの絵面が強烈。