さうすぽー

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のさうすぽーのレビュー・感想・評価

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)
3.6
自己満足点 70点

士郎正宗原作の押井守監督作品であり、押井守という名前を海外に知らしめた代表作。

特にアメリカでカルト的な人気を誇っており、ジェームズ・キャメロンの「アバター」やウォシャウスキー姉妹の「マトリックス」という名作にも影響を与えた事を考えると本作の偉大さが窺い知れます。


95年の作品としてはアニメーションの美しさに定評があり、大友克洋や今敏の作品と共に作画のクオリティの高い作品として上げられます。
AKIRAの原画班であった名アニメーター達も作画に関わっており、沖浦啓之はキャラクターデザインと作画監督を務めており、井上俊之等も関わっているからか、どこかAKIRAを彷彿とさせる映像表現もあります(例として摩天楼の背景とか)。
それに加え、マトリックス・コードに直接影響を与えたOPのクレジットや義体の腕が破壊される場面等、押井守独特の演出要素があって面白いです。
(河森正治が手掛けたメカニックもグッド!)

なので作画に関しては非常に素晴らしくて美しいのですが、正直ストーリーはあまりはまらなかったです。
「A.I.」等にもみられる「人間の境目」や「ネット社会」といった興味深いテーマが本作に描かれていますが、哲学的で文語体に近い登場人物の台詞がどこか機械的に感じ、情報量があまりに多いために興味を少し削がれてしまいます。

それが顕著なのが草薙少佐が海に潜った後にバトーと会話する場面。
あまりにも少佐の台詞が早口で説明的であり、興味深そうな言葉を並べても「どうでもいい」と感じてしまいます。
自分が押井守作品の苦手なところです。


ただ、そんな本作でも唯一大好きな...いやAKIRA以上に好きな要素があります。

川井憲次の音楽です!

民謡を思わせるメロディや古風な歌詞と、どこか和の音楽を取り入れたサウンドが印象的ですね。
驚きなのが、和の音楽であるにも関わらず一切和楽器を使用していないという事です!パーカッション(打楽器)にアフリカのジャンベやインドネシアのガムランを使い、有名な民謡的な合唱はブルガリアンヴォイスを使用するなど、正に西洋と東洋の二つを融合した独特なサウンドで、正に無国籍な本作の世界観を彩らせており非常に完成度が高いです!
(僕が坂本龍一よりも川井憲次の映画音楽の方が好きな理由でもある)


ちなみに、95年というとインターネットの黎明期という事で今とは違いネット社会に賛否解れていたそうですが、今こうしてネット社会になっている事を考えると、その当時にネット社会に対して肯定的な意を示した本作は本当に凄いと思います。
ただし、個人的には絶賛というほどではありません。