pika

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のpikaのレビュー・感想・評価

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)
4.5
今まで見てなかった自分がクソか宇宙の塵かと、ゴミ収集に間に合わなかったおっさんのメガネのネジかと居たたまれなくなるくらいに最高でした。

2017年の今見ると現実の世界や数多あるフィクション作品で語られ尽くしたテーマではあるが、時代における鮮烈さを抜きにしてもアプローチが面白いし、20年近く経った今見ても全く古びていない。

テーマの置き所は人工知能の意識というところにあったとしても、人間のそれとの境界の曖昧さが核なので、ゴースト=魂=意識という知覚できないものの概念を哲学的に抽象化したりとテーマの置換が独特で面白い。
海も空も台詞も景色も問いかけっぱなしのメタファーに思えてやまず、ストーリーの帰結やキャラクターの結論にカタルシスがあるのではなく、投げられたボールを如何に受け取るのかに楽しみがある哲学的ないつものやつがとにかく最高。

同じテーマで作られた名作SF映画はたくさんあるしどれもこれも大好きだけども、それぞれと比較することなく独立して存在しうる世界観と概念の面白さに圧倒された。
僅か80分で表現しきった完成度がハンパなく凄いし、描かれていない抜かれた隙間も全て拾い上げたくなる衝動に駆られる。
pika

pika