ウォール街で成功を収めた男が、ある交通事故によって人生を大きく狂わされ、転落の道を辿る物語。
トム・ハンクス、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマンという名優揃いで題材も面白いが、纏まりのない残念な仕上がりになっていた。興行的に大コケし、ラジー賞にノミネートされたというのは気の毒だが、分かる気がする。
裕福な白人の男が不倫相手とドライブ中、黒人をはねてしまう。運転したのは女だが車は男のもの。地方検事は選挙活動にそれを利用し、マスコミは群がり、酒浸かりの新聞記者は事件を追う。
ブロンクスの黒人地区で白人エリートの吊し上げである。テーマは深刻な人種問題だが、一癖も二癖もある登場人物にシリアスさはなく、序盤からのコメディ要素を引きずったままサスペンスへ。
コメディ程の軽さはなく、サスペンス程の重さもない。ブレた軸の中で尻軽女の下ネタが空回り、周囲の思惑が空騒ぎ。収拾がつかなくなったラストを感動的な演説で強引に締めた感じ。
デ・パルマの十八番であるスプリット・スクリーンは近距離の2点による分割が効果的とは思えず、持ち味であるその他の技法も活かされていなかった。
トム・ハンクスが銃をぶっ放すシーンは思わず笑った。ブルース・ウィリスと並んで座る地下鉄のシーンがなんだか凄く好きだった。