槙

A DAY IN THE LIFEの槙のレビュー・感想・評価

A DAY IN THE LIFE(2006年製作の映画)
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斉藤陽一郎主演作ということで見てみたくて探したところ、GEOの宅配レンタルで発見。2006年山県国際ムービーフェスティバルのスカラシップ作品として監督された作品らしい(検索しても情報自体があんまり出てこない)。

斉藤陽一郎演じる花村は東京でゆるーい女性関係を持ちながらゆーるく暮らしていたのだけど、その中で関係を持った女性がエイズで亡くなったと知る。慌てて検査したら自分もHIV陽性が判明。実家に戻って定期的に検査をしながら余生を過ごすことにする。

作品のクオリティ自体は率直に低予算映画って感じでみんなセリフを読まされている感がすごいのだけど、それゆえ斉藤陽一郎の芝居のうまさだけ妙に際立ち異様な存在感がある。実家に戻って、両親より自分の方が先に死ぬと思ったのに結局、母の方が先に逝き、父と二人暮らし。家事ヘルパーで来るようになった女性がちょっと気になるもの病気があるので気持ちを抑える。最後にはなぜか突然陰性になって(ごくまれにそういうケースがあるらしい)、彼女との関係性を一歩踏み出そうとするところで終わるんだけど、途中で地元のツレのひとりが実は花村に対して友だち以上の感情を持っていることを女の方に告げる。それがそこで終わってしまうところがなんだかな〜、と。花村→女性の関係は病気が障害になっていて、それがなくなったら進められるのに、地元のツレは同性同士だから永遠にその気持ちに蓋をしている。たしかに、現実的な判断なんだろうけど、この物語でそういう設定を挿入して、異性愛の方だけ病気がなくなったら無邪気にコマを進める展開にはなんだかなぁ……だったら地元のツレはめちゃくちゃ良い友だちという設定で良くないかい?と思ってしまった。まぁ、作品の長さも中編程度のものだから、そこまで掘り下げられなかったのだと思うのだけど……。
槙