まーしー

グエムル -漢江の怪物-のまーしーのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
3.0
以前から気になっていた作品。『パラサイト』のポン・ジュノ監督作品ということで鑑賞。漢江の怪物にさらわれた娘を取り戻すため、家族が立ち上がる。

ジャケット写真を見た時の先入観からか、長年、モンスターパニック映画だと思っていたが、予想に反し、家族愛を描いた内容だった。

タイトルの「グエムル」とは、「怪物」を意味する韓国語。しかし、怪物の怖さという視点では、『エイリアン』など他作品には及ばないだろう。本作には、得体の知れない生き物が襲ってくる、といった恐怖感やスリル感はあまりない。
また、怪物の姿や動きに特徴があるわけでもなく、モンスター映画としても際立った特徴は見出せないし、怪物のとる行動もいまいち理解できない。
だが、久々の家族の再会、間抜けと思われる長男をかばう父親の姿など、家族ドラマとしての要素は見応え十分。家族の間でリレー形式に情報を伝達するシーンなどは、家族の繋がりを象徴しているように感じた。
『パラサイト』にも通ずる、貧しい家族の絆と愛情を描いた物語は、監督の得意とするところかも知れない。

ホラーやモンスターパニックのジャンルに分類されながらも、家族ドラマをメインに据え、見事にまとめ上げているあたり、ポン・ジュノ監督らしい作品だと思った。
また、ラストの解釈を観客に委ねるところは、同監督の『スノーピアサー』とも重なった。