危険薬剤の大量放棄により生まれた未知の巨大生物の上陸によりパニックに陥る韓国は漢江。在韓米軍からの病原菌の情報から怪物との接触を理由に隔離されるカンドゥ一家が、怪物に捕らわれたまま携帯で助けを求める娘ヒョンソのために軍の追跡を受けながらも救出へ向かう様を描う、ポン・ジュノ監督によるモンスターパニック映画です。
クオリティの高い映像で描くモンスターパニックを下地に、練られたプロットで家族の絆をフィーチャーするコンセプトはアメリカ映画では『ミスト』や『クワイエット・プレイス』といったヒット作を彷彿とさせますが、本作は年代的にはそれ以前に制作されたものでありながらもそれらの作品に決して引けを取らない完成度を誇っています。
ポン・ジュノの作品はジャンルレスが一つの特徴ですが、実際に起きた在韓米軍漢江毒物無断放流事件やアメリカ至上主義社会に対するアイロニーに、モンスターパニックの緊迫感、弛緩を利用したシリアスな笑い、家族物語の温かみに敗者の逆襲劇とホンサクにも様々な要素が溢れていて、娯楽映画として申し分のない面白みを持つ一作です。
