takamaru

グエムル -漢江の怪物-のtakamaruのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
4.4
川べりでのんびりしてるときに怪物が現れたら、たぶん実際もこんな感じだろうなと思わせる怪物の登場シーン。じわじわとやってきて急にスピードアップする怪物の緩急のある動きと絶妙な体のサイズ。パニックに陥って逃げる人々のバラバラな動き。怪物がいることに気がつかない人。手をとって娘と一緒に逃げてるつもりが人違い!とか。映画を見てる!という気分でいっぱいにさせるポン・ジョノの演出がとにかく素晴らしい。手渡された銃に弾が入ってないことに気がついて怪物に殺される直前の親父の表情。その直前に弾数を数えてからっぽだったことに気がつくソン・ガンホの指元。悲劇の中のユーモア。不祥事を起こしても真実は伝えず、人命を犠牲にしてでも強引にコトを解決しようとする米軍と政府の姿勢。まるで日本へのオスプレイ導入経緯を見ているような現代にシンクロするテーマもある。でも何より、この映画で心をつかまれるのは絶望的な状況にあっても、必死に生き延びようとする娘ヒョンソのサバイバルな戦いだ。映画の中では、生き延びようというヒョンソの強い意志のこもった表情が何度も映される。そしてヒョンソを何とか救いだそうとする家族のがむしゃらな戦い。不意にあらわれた怪物と戦うのが国や政府じゃなくて、市井の一家族だというのが皮肉だし、ある意味リアル。
takamaru

takamaru