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グエムル -漢江の怪物-の教授のレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
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やはり、ポン・ジュノ監督作品はコンプリートしておきべき、と奮起しての鑑賞。
そして相変わらず面白い。

ポン・ジュノ+怪獣映画。
意表を突いているとも言えるし、的を得ているとも言える絶妙なチョイスとセンス。

そして冒頭から、環境汚染からの怪獣の誕生、という王道を手際よくアッサリ過ぎるほど説明していく潔さ。
燦々とした陽光で起きる惨劇。当時こんな明るい場所でいきなり怪獣が暴れ回る、というシーンはなかったはず。
また美女、ではないが、少女とモンスターというのはきっと「キングコング」のオマージュだろう。

そこに「第9地区」のように「真の怪物」なのは狂気じみている「行政」や「国家」の姿がまざまざと映し出される。
あまり詳しくはないが韓国の80年代から90年代にかけての「政治の季節」の影響も深くあるだろうと思うような描写も散りばめられ。その傷痕が挟み込まれる。

一方で「パラサイト」でも見られた下層社会、降りしきる雨。ボンクラたちの復讐。相変わらずの情報量とコメディ表現とシリアス表現の応酬。

ソン・ガンホやペ・ドゥナなど相変わらず出演者全員の演技力の高さ。

おかしなところ、説明不足なところ、ツッコミどころなどたくさんあれど、それらの負の要素を感じさせない圧倒的な世界観。

才気だけで退屈してしまう映画は数多いが、才気だけで何作も乗り切ってしまう演出力には本当に圧倒されてしまう。
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