晴れない空の降らない雨

ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォーの晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

-
なーんか散漫で印象に残らない。本を読まない人にとってはそこそこお勉強になるが、映画史的なストーリーと二人のストーリーとが中途半端に取り上げられてどっち付かずになってる。俳優のジャン=ピエール・レオを第三の主人公として出したせいで、ますますヌーヴェルヴァーグから焦点がぼやけている。 

ゴダールやJ-P. レオら存命の関係者への新規インタビューがなく、アーカイブ映像の切り貼りだけで退屈だ。それに、このやり方だと、作り手の見せたいものを見せられている感じがどうしても強い。どうもトリュフォーに肩入れしている気配を受ける。

客観的・中立的たれ、などとナイーブなこと言う気は無論ない。問題はむしろゴダールよりトリュフォーを取るという選択肢が実は成り立たない、ということにある。なぜなら、ヌーヴェルヴァーグに意義があったとすれば、それは何よりゴダールの存在にあるからだ。トリュフォーは既存の枠組みに収まる。つまりどこまでいっても「ある映画監督がいました」という話に過ぎない。そうではなくヌーヴェルヴァーグという出来事を認め、主題にするなら、ゴダールを主役にするしかない。それを拒否するなら、こんな映画は撮らないことだ。