ピュンピュン丸

ナイアガラのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

ナイアガラ(1953年製作の映画)
4.0
ストーリー的にはジーン・ピータースのほうが主役。準主役がジョセフ・コットン。ジョセフ・コットンは数々の名作に出演している名優だけど、結構情け無い役が多いよなぁ。今回もそんな感じ。

映画会社の思惑があるにしろ、マリリン・モンローの圧倒的な存在感が輝きを放っている。モンロー初のカラー映画での出演。その威力を存分に出していて、モンローの宝石のような金髪、ブルーの瞳、真っ赤な唇がスクリーンの中で光り輝いている。

ベッドで悪夢にうなされているだけのモンローをアップで映し続けるなんて、モンローでしかあり得ない。

加えて、モンロー・ウォークと呼ばれた独特の歩き方がこの映画で初御目見え。ひとりの女優のただ歩く後ろ姿を映す時間としては映画史上最長と言われた。

モンローは、まさに天がもたらした、絶頂期のアメリカが生んだ大スターだ。

モンローの役は、情夫を利用して夫殺しを計画する悪女。その後のモンローが演じることが多かった、セクシーだけど天然で少し抜けている、ほんわかしたキャラとは大違い。こういう陰のある、犯罪の匂いがするような役は、前年の『ノックは無用』から続くが、これが最後となる。

ストーリー的には、最後のナイアガラの滝での、ジーン・ピータースとジョセフ・コットンの格闘のシーンがハラハラしてヨカッタ。

ナイアガラの荘厳な景色とそこにかかる美しい虹、そしてそれをもまさるマリリン・モンローの天衣無縫な妖艶な美しさが印象に残る映画だ。