垂直落下式サミング

賞金稼ぎの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

賞金稼ぎ(1969年製作の映画)
4.0
冒頭の字幕とナレーションがもう胡散臭い。オランダ商船からスコープ付きの最新式ライフルを密輸し、その兵力で徳川に反旗を翻そうと謀る薩摩藩。その不穏な動きを嗅ぎ付けた幕府によって密偵が派遣される。無法地帯・殺魔を富三郎が斬る!
にしても若山先生の華やかな大立回りには惚れ惚れする。俊敏でダイナミックなのに軸がしっかりしていて、大きく飛んで跳ねてもお手のもの。敵の砦に潜入する際には関西弁で勝新の真似をしており、なぜかわざわざ両手から持ちかえての逆手斬りまで披露してくれる。
悪の親玉によるガントレットや多国籍な暗殺者などはマカロニ・ウエスタンの影響か。さらに、血みどろの戦いのなかで富三郎の懐から様々な秘密兵器が飛び出す。仕込み杖はもちろん、折り畳み式ボウガンや仕込みの単筒などの飛び道具から、草履に手裏剣が内蔵されていたり、仕込みの鞘が望遠鏡になったりと、全身にウェポン&ツールを隠し持っているのはブームだったスパイ映画の要素を取り入れたのだろう。そのガジェットの構造をオープニングで惜し気もなく見せてしまうのは作りの自信のあらわれだ。
何かの間違いで小学生のときに見てしまったので、女の人が股間を火で炙られて拷問される場面にむずむずしてしまったことを覚えている。主人公が女の顔面をグーパンする映画は傑作。