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プラトーンの教授のレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
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なんとなくのうろ覚えの記憶で、本作公開当時は「レーガン政権」だった…というのもあり。
改めて本作を「大人になった自分」が観返してみると、非常に「リベラル色」が思想映画である趣をすごく感じる。

また、アカデミー賞作品賞受賞など。
なんとなく華々しさすら感じていた作品でもあるが、実は非常に低予算映画であったと気付かされる。

描かれるのは。
裕福な環境、生活に反発して、ベトナム戦争に従軍した監督であるオリバー・ストーンのほぼ自伝的な従軍体験に基づいたフィクション。

アメリカ軍による民間人に対する虐殺や強姦と隠蔽や、軍隊内の麻薬汚染、殺人だったり同士討ちだったりと、本当に「戦場ではありとあらゆることが起こる」というのをまざまざと実感させられる。

「戦場のリアリズム」もそうだし。その陰惨さ、から浮かび上がるドラマ性は、先に述べた「リベラリズム」的なカウンターとして、80年代中盤に、大きなインパクトを与えたことは、今更ながらよくわかる。
やはり70年代的な価値観とは大きく違う意味で、本作の意図があるのだと感じる。

それは、映画的に、そしてオリバー・ストーン監督自身が得ている実感と教養に基づいて、どこかエリート主義的な異臭も感じてしまう。

富裕層側から観た、社会の底辺の人々の状況、という視点。ある種の健全性を保った「人間性」を失わないウィレム・デフォー演じるエリアスと、戦場こそがむしろ生きがいですらあるようなトム・ベレンジャー演じるバーンズの対比の図式。
やがて自身も「悪鬼」と化すラストの展開などが、些か、なんだかんだと戦争エンターテインメントとしての帰着に思えてしまうようなバランスにも見えて居心地の悪さと、正直、ラスト近くは眠気を感じるほどの緩さも感じてしまったりもした。
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