けーはち

プラトーンのけーはちのレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
4.0
大学中退後、兵士になって前線に送り込まれた新兵の目でベトナム戦を描く。

★アメリカは二度の大戦に勝利後、共産主義との戦いでも相変わらずイケイケドンドンだが、ベトナムではかつてない敗北、苦痛と屈辱、疲弊を味わうことになる。「鬼の目にも涙」というが、アメリカ人の心にも反省である。ベトナム戦争映画は暗く内省的。戦争の闇に光を当て、自分たちの正義を疑いながら、それでも兵士たちは生きのびるために、狂気を纏い戦う。

★焦燥、恐怖、苦痛、それに対する反動、狂気、破壊衝動──それは物量にモノを言わせた大破壊のカタルシスになり、そして後に何も残らない虚しさになる。ベトナム戦映画はこういう緊張と緩和の振り幅がデカいので陰惨と言えば陰惨だが、結果としては意外と楽しい。本作の場合は特にもう初っ端から暗〜いテーマ曲が流れるから、オッ、暗いなぁ〜、これ、これだよ!と言う気分になれる。『地獄の黙示録』とかは逆にみんな戦争でネジがハズレてハイになっちゃったとこから入って段々ワケわかめシュールになっていく。

★本作の主人公の境遇は、イェール大学を中退しベトナムで英語を教え、その後ベトナム戦に参加したオリバー・ストーン監督自身の経験に基づくもの。理性的で筆まめな主人公が、段々疲弊して家族に手紙を書かなくなり、また薬に溺れ、ついには猛獣のように戦うようになる変化が描かれている。

★またバーンズとエリアス、悪と善の2人の上官が殺し合う様相は寓話的でとても分かりやすい作劇。エリアスのひざから崩れ落ちながら天を仰ぐあのポーズはものすごい印象的。語り継がれる名作戦争映画と言って良いだろう。