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プラトーンのan0nym0usのネタバレレビュー・内容・結末

プラトーン(1986年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

私はよくレビューで『エゴの極致』が戦争だと書きますが…それはエゴを国家まで拡大すると『ジンゴ』になると思うから。

戦場という極限状態に自らの人間性を突き付けられた時、それでもなお『常軌』の道筋を見失わずにいられるか…それができないから『戦争』が起きるんでしょう。

鼠でさえ、追い込まれれば猫に牙を剥く。
それは生の本質。自らに死を与えようとする現実に、全てを賭けて抗おうとする意思。

その恐怖は私たちの『理性』の脆弱さを浮き彫りにして、根源的に宿る獣性を炙り出す。

Sanctity、Quality of Death。
安穏とした場所で生きる内に、私たちは『生と死』を大層な言葉で飾り立てるようになった。それはこの側面から見ると、純度の低い生命観に思えてくる。

倫理が守ってくれない場所では…
そんな言葉自体が軽々しくさえ思える。

時には死が『救い』にもなるし、地獄を生き延びた後に続く生は『苦しみ』を孕むだろう…詰まるところ、生き足掻くことは苦悩に塗れてる。

私たちに置き換えると、戦場では逃亡兵が一番まともで理性的なのかもしれない(苦笑)

理性に殉教する…肉体を超越する。そのメンタリティに至るには、あるボーダーを越えなきゃならなくなるんだと思う。

行動と結果、その後の現実が全て。
今さら『状況』を言い訳にして何になる?

私たちは犠牲の上に生きている。
その上で、価値ある生を追求している。

争いは終わらないだろうという達観。
でも、それを良しとしてはいけないよね。

ラスト、ヘリから見下ろした焼け野原。
戦争が何を残してくれるの?

互いに傷付き、疲れ果てるだけ。

そうならない為に、心を持って生まれてくるんじゃないのかな…なんて事を考えさせられる。

監督の語るメイキングの特典映像も必見。
若かりし日の名優たちが、文字通り体当たりで挑んだ骨太な戦争映画。私たちの歴史のひとつとして残されていくべき作品。
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