おのちん

プラトーンのおのちんのレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
3.8
ベトナム戦争版、半沢直樹。だけじゃない。

久しぶりに再見。浅く見ると戦争の悲惨さとか部隊内の派閥対立がメインストーリーで、「リアル再現したベトナムの戦場で半沢直樹やってるだけやん」とも解釈できるのですが、もうちょっと深く考えるとラストシーンでチャーリー・シーンがヘリコプターで帰還しながらつぶやいてた心の声がヒントかなと思いました。うろ覚えなので後日修正するかもですが「ウィレム・デフォーとトム・ベレンジャー、結局どっちが正しかったのか僕にはまだわからない」みたいな感じだったような。

ウィレム・デフォーはマリファナパーティやったりしてる場面に象徴されるように、優秀な兵士なんだけど自由を愛するリベラルなヒッピーっぽくて部下にもやさしい人。一方でトム・ベレンジャーも優秀な兵士なんだけど村の事件に象徴されるような、目的のためには手段を選ばないカタブツっぽい人。

これはベトナム戦争末期のアメリカの世論というか、アメリカの悩みがそのまま戦場での派閥対立に置き換えられているのでは。つまり、こんな戦争もううんざりだからやめようよという考えと、自由主義国家の中で世界一の大国アメリカが共産国の支援を受けた(北)ベトナムみたいな小国に負けるわけにいかないっていう2つの思想の対立が描かれてたのでは。

もっと言えば、一人の人間の中にも「みんなで仲良く自由に生きればいいじゃん」という考えと「秩序を守って目的達成。もし邪魔するものがいれば排除もやむなし」みたいな心の対立があって、若いチャーリー・シーンには、アメリカに戻ってこれからどっちの生き方を選ぶべきかまだ答えが出てないという解釈もできそう。

この映画を見た多くの人は最後に「え、ジョニー・デップ出てたのか」と思うと思いますが、DVD特典の「カット場面集」を見たらジョニー・デップのまあまあ長いセリフの場面がバッサリとカットされてて、もし自分がジョニー・デップだったら相当凹んでるだろうなと思いました。カメオ出演のオリバー・ストーン監督が突撃兵にテントごとふっ飛ばされるシーンは笑った。

2019.10.22
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