菩薩

モラン神父の菩薩のレビュー・感想・評価

モラン神父(1961年製作の映画)
4.2
これはひょっとしてメルヴィルなりの『堕落論』なのではないか?なんて勝手な推測のまま観ていたら、結局はエマニュエル・リヴァのそっち系のお話でなんじゃい!ってなったけど、この時のエマニュエル・リヴァに、いやエマニュエル夫人ことリヴァたんに「来て…」とか言われて断るベルモンドは神父の中の神父すぎる、俺なら即祭服を脱ぎ捨て飛び込む。にしたって終盤のナタからトンカチのまでの流れがエロすぎる、リヴァたんのちょっと眉間にシワ寄せる表情とか特に、苦悩しすぎ。神の教え(そのもの、もしくは解釈)すらも時代を経て移り変わるのだから、人も社会もブレる、変わる、堕ちる。女から男へ、イタリアからドイツへ、平和的から強権的へ、聞く側から話す側へ、そして無神論者から敬虔な信徒へ。対話を重ねるうちに様々な状況の変化が起こり、感情の変化が起きる、それを堕落?と称するならば、それを止めるシステムもまた然り、立ち入り禁止の領域に踏み出してしまったことに気づくのは、常に取り返しのつかないとこまで堕ちてからである。人と神とでは愛そのものが別物だ。最初の懺悔室のシーンは『三度目の殺人』の元ネタ?だったりして。子供ちゃんがまた憎いくらい可愛くていい味出してる。
菩薩

菩薩