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尋問のkyokoのレビュー・感想・評価

尋問(1982年製作の映画)
4.0
製作総指揮アンジェイ・ワイダ。完成直後は戒厳令下のポーランドで公開・輸出禁止となり、8年後にカンヌにて公式に初上映されたといういわく付きの作品。観たいけどDVDはないのかーと思ってたところにタイミングよくポーランド映画祭でかかってくれた。


1950年代、スターリン体制下のワルシャワ。
わけも分からずいきなり投獄されたキャバレー歌手トーニャ(アントニーナ)は、過去に一度だけ関係した男にスパイ容疑がかかっていることを知る。秘密警察の目的は彼女にウソの自白をさせて男のスパイ行為を立証することだった。国家の安全のためにはどんな犠牲も仕方ないと、あの手この手でトーニャに自白書への署名を迫る。

見ていられないほど残虐な拷問……というほどでもない。水責めがマックス。最後のほうは若干茶番化してトーニャじゃなくても「なんだこれ」な場面もあった。とはいえもし自分だったらと考えたら、拒み続ける自信は微塵もないけども。

それよりも、見知らぬ男たちとグデングデンになってた様からてっきりビッチだと思ってたのに、狂気的な粛清の時代にあって決して人間の尊厳を失おうとしない、男に負けない剛勇さを見せるトーニャに大いに惹きつけられた。
そんな彼女にひとりの人間として心を動かされる薄毛少佐の心情描写も良き。
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