ペコリンゴ

原爆の子のペコリンゴのレビュー・感想・評価

原爆の子(1952年製作の映画)
3.8
記録。
あれから7年後の8月6日。広島の空。

終戦後7年間に渡って続いたGHQの占領状態解除後の8月6日に公開。初めて原爆について描いた映画らしい。

目に飛び込んで来るのは、未だ癒えていない傷跡を残しつつ、復興に芽吹く広島の風景。フンドシ姿で遊びに興じる子供たちすら人生の大先輩。

広島に帰省する孝子を通して垣間見る人間模様から伝わるのは、一言で言うと(言い表せるとは思ってないけど)「爪痕」。

本作は記録映画ではなくフィクションなわけだけど、爆発によって十数万もの人が亡くなっただけでは済まず、7年経ってなお潜む死の恐怖や尊厳の損失は恐らく当時の真実だろう。

しかしながらそのような状況下において人の情が暗闇を照らす灯火のように感じることが出来たのはせめてもの救いか。

言うまでもなく広島は人類史上初めて核攻撃を受けた都市だ。その3日後の長崎を含めても、核兵器による攻撃を受けたのは現時点で我が国だけ。

何が出来るってわけではないんだけど、もう二度とあのような面持ちで空を見上げる人を生み出してはいけない。そう思いました。