ウサミ

ロング・グッドバイのウサミのレビュー・感想・評価

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)
4.3
深夜に飼い猫に起こされた男は、グルメな猫のためにわざわざスーパーにエサを買いに行くが、飼い猫のお気に入りの缶詰めが置いていない。やむなく別のを買って帰るんだけど、猫にソッポを向かれる。
そんなボンヤリとしたシーンから開幕するこの映画。

のらりくらりとした主人公の振る舞いと、タバコの煙に揺蕩いながら、掴み所の無い事件の真相が少しずつ暴かれていく様が見事。
その中で、主人公の魅力をさりげなくもハッキリと観客に伝える。彼の中に、何か譲れない信条や人間としての美徳の存在を感じさせるのである。

『インヒアレント・ヴァイス』や『アンダー・ザ・シルバーレイク』といったわりと最近の映画も、この映画から出発してたりして、なんて思った。古い映画ながらセンセーショナルさとトリッキーさが色褪せていない。

事件の醜い真相が露わになったとき、主人公自ら事件に終止符を打つ。
ロング・グッドバイ… そのカタルシスが素晴らしい。
ウサミ

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