さききち

ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間のさききちのレビュー・感想・評価

3.3
㊗️90-91年版 ツイン・ピークス30話完走!
狭い田舎町の捻れに捻れた人間関係と情念に超自然現象と善悪の観念世界、そしてリンチ的不条理性が入り乱れる様に魅了されっぱなしだった!
そして期待を胸に映画版へ!
だったんだけど……………

本作はドラマの前日譚。
1話冒頭で死体で発見される
ローラ・パーマーが主人公。

〜キャスト続投問題〜
映画開始!沢山出てくる見慣れた顔!
ドラマ途中でドロップアウトしたキャラもまだ生きてる!生きてるローラとも会話してる!わー!
と心が同窓会状態!
…が、ローラの親友 ドナ登場シーンでざわめく心。

…お前誰やねん!

ドラマの女優さんは降板、全く別人になっていた…
ドナはドラマでも活躍シーン多く、
思い入れがあるだけにすごい残念。
その他は全員オリジナルキャストだっただけに浮き方がすごい…
予想はできる気もするが、降板理由が知りたい…

〜映画として〜
リンチが監督なので
トンデモ奇天烈な世界を再び体験できるかと思ったが…

正直なところ、
ドラマの補足としては○
映画としては×
という印象だった。

今作、登場人物の言葉や推理で語られていた過去の事実を映像化、ローラ目線で追体験できるという点に意味があるのだけれども。

ドラマ版の台詞等との整合性を図ろうとしている分、逆に、ドラマを観た者にとっては、単に答え合わせ、事実の確認作業になってしまって面白みに欠ける。
時折、リンチの尖った映像表現もあるものの、プロットが上述の通りである分、途中で飽きてしまう。
(と言っても辻褄合わないシーンも…)

では、ドラマ未見・映画から入る者はどうかと言うと、そもそも各シーン・世界の意味する内容が分からず完全に置いていかれると思う。
ドラマを観ていないと、主役であるローラの行動原理や感情の起伏の理由もわからず、感情移入も難しいだろう(というかかなり苛つくと思う)。

しかしながら、何やかんや書いたが
ラストシーンは好き。


〜続編が観たい〜
続編であるTWIN PEAKS The Returnが今年全米で放送(日本でもWOWOWで放送中)。
出遅れたため、今から参入は難しくて残念!
1話から観るにはソフト化を待つしかないのかな?泣
ネタバレに怯える長い、長い日々が始まる…

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[1/14 18:40追記]
リンチ極音@立川シネマシティにて再鑑賞。
結論から言うと素晴らしい体験だった。

素人にもわかる繊細な音の機微と多層感!
深まる不穏さと傷!
ブラックロッジの奇怪さは倍増!
そして何よりテーマ曲を劇場スピーカーで聴けるのも最高!

ローラの境遇・精神性に主眼を置いて鑑賞すると不憫さに胸が張り裂けそうになる。
終盤の とある対比構図は辛辣かつ素晴らしく
そしてラストシーンは胸を打つ。

意味を見落としていたシーンにもいくつか気づけたので良かった。
やはり、映画館での鑑賞と自宅での鑑賞は全くの別経験と言っても過言ではないことを再認識した。
さききち

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