垂直落下式サミング

スタンピードの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

スタンピード(1965年製作の映画)
2.9
カウボーイのジェームズ・スチュワートが、優秀な種とされるヘレフォード牛を守って輸送する映画。
タイトルになっているスタンピードとは家畜などの集団暴走のことであり、その場面をとらえた牛が群をなして押し寄せてくる中盤のシーンにはかなりの臨場感がある。この構図でどうやって撮ったのだろうと考えを巡らせると、当時の撮影班の命の軽さが身に沁みる。
後半は、悪者に邪魔されながら農場まで連れてきたヘレフォード牛とテキサスのロングホーン牛との交配によって品種改良をしようとするのだが、頑固な農主は放牧による自然のなかでの交配しか認めないため、おとなしいヘレフォード種は子孫を残せず困ったぞとなる。
こういった苦労話が実際にあったのかどうかはわからないが、二人の男に愛される未亡人の心情が揺れる描写は、どちらも選ばないという選択肢はハナからないかのようで脚本の夫婦観・恋愛観が女性蔑視的に感じた。現実的に考えて、当時のアメリカが未亡人の母と娘の女二人だけで安全に生活していける場所だったとは思わないが、そういった現在の綺麗事の価値観でみた欺瞞を差し引いてもドラマに見所が少なく退屈な映画だった。